判断素地の問題

そもそも、パクリかどうかを判断するためには、パクリを行った作品と、元ネタの作品の両方を知らなければできない。インターネットはその環境そのものを大きく変えた。

インターネット普及前
両者を知る人がパクリだと感じたとしても、それを確認する範囲は、直接コミュニケーションをとりうる範囲内に限定される。
また、それを確認してもらおうとしても、両作品を知る人しか、パクリか否かを判断することができない。片方しか知らない人が、別の作品と似ているといわれた場合においても、出版・発行されているメディアに直接触れなければそれを確認することができず、なかなか手間のかかる作業である。特に片方がマイナー(もちろん両方がマイナーも含めて)な作品である場合は、パクリかどうかの判断をすること自体が、ごく一部の人たちにしか行うことができない。

インターネット普及後
ある個人がパクリであると感じたという情報は、インターネットにより不特定多数の人間に瞬く間に知らしめることができる。
その際には、とりこまれた文書、スキャニングした画像、音楽ファイルは誰でもネットに簡単に流すことができるため、それまでは両作品を知らなかった者ですら、パクリか否かを判断する土俵に乗ることができる。また、画像については両者を重ねて検証を行うなど、判断をサポートする情報もあわせて提供されていることもあり、その場合にはより幅広い層の判断を仰ぐことになると期待される。